当院は
① 罹患数、死亡数上位の大腸がん・胃がん減少のために、内視鏡検査・治療の普及を目指します。
② 都内最大級1フロア100坪、下剤室7部屋、トイレ4個、トイレ付下剤個室1部屋、大学病院レベルの医療機器と内視鏡専門医在中。女性、男性ともに安心して大腸カメラを受けられる充実した施設になっています。
内視鏡への想い
30代以降の方で「最近胃が痛いときがある」、「下痢が多くなってきた」など、胃や大腸の症状をほったらかしにしていませんか?また、「症状があるから内視鏡の検査を受けてみたいけど、痛そうだし時間もかかりそうだし・・」、「毎日が忙しいから受診はできないな。」と思ってそのまま身体からの大事なサインを放置していませんか?
私もなかなか仕事を休めないため、体調が悪くても多少無理して仕事に行くことや、普段の健康管理を怠ってしまう気持ちはよくわかります。でも、歯が痛くなって我慢できなくなってから歯医者さんにお世話になって、日頃の口腔ケアがいかに大切かと実感するのと同様に、普段の体調管理が重篤な病気や症状を回避することや将来の健康に繋がることを医師として患者さんにお伝えしなければなりません。
胃痛、慢性的な便秘、下痢、血便はそのまま放置していい症状ではありません。暴飲暴食をしても、胃もたれすらなかった20代とは違います。「胃がん・大腸がん」、または「ピロリ菌感染、大腸がんの前駆病変である大腸ポリープ」による症状の可能性があります。
一般的に、内視鏡=「痛い」というネガティブな認識があるため、内視鏡検査から遠ざかってしまう方もいらっしゃると思いますが、最近は鎮静剤の麻酔薬の使用により痛くない内視鏡が普及してきており、それぞれの患者さんのご希望に沿った内視鏡ができる病院、クリニックが多々あります。
例えば、胃カメラ検査であれば、鼻から管を通す経鼻内視鏡検査と、口から管を通す経口内視鏡検査があります。経鼻内視鏡は鎮静剤を使わないことが多く、鼻が押される感覚はありますが、嘔吐反射は抑えられ、患者さんも意識のある状態で医師と検査中のモニターを見れるメリットがあります。経口内視鏡検査の場合は鎮静剤を使用することが多く、検査中の嘔吐反射など辛いことがなく、15分ほど眠っている間に終わるので、患者さんも不安な気持ちが少しでも解消されるかと思います。
大腸カメラ検査であれば、下剤を院内で飲むか、自宅で飲むかを選べたり、胃と大腸を同日にすることもできます。大腸カメラ検査も鎮静剤を使用しますので、痛みを抑えた内視鏡検査が可能になっている施設が増えております。
このように内視鏡の種類、方法などが、ここ近年で豊富になり、患者さんのご希望やスタイルに合わせて選ぶことができるようになってきました。せっかくの機会ですので、身体からの大事なサインを受け止めて頂いて、まずは医師と相談するために、病院、クリニックをぜひ受診してください。
当院は大腸がん・胃がんの罹患数、死亡数を減少させるために、内視鏡の普及を目指しております。そのためには、「がん」の早期発見・早期治療だけではなく、「がんの前駆病変」の早期発見・早期治療を重要視しています。大腸がん・胃がんはどちらも罹患数、死亡数が上位となっています。その理由として、大腸がん・胃がんの早期発見・早期治療だけでなく、大腸がん・胃がんの「がんの前駆病変」のための内視鏡検査・治療が十分に普及されていないためと思われます。私は大学病院、市中病院で勤務して、さまざまな患者さんと出会ってきました。大腸がん、胃がんと診断されて、内視鏡治療だけでなく、外科的な治療が必要となったときに、患者さんがご自身の病気と向き合うために、今までの生活リズムを変えたり、仕事の調整が必要となったり、家庭の中でのご家族からの心配など、大変さは何度も目の当たりにしてきました。さらには、治療には治療費がかかります。外科的な治療が必要になった場合は、入院費や外科治療など、保険診療の範囲で行う治療であっても、かなりの治療費が必要となります。また、保険診療の範囲内で行えない治療などの場合は自費診療となり、さらに高額な治療費が必要となります。そのようなことになる前に、やはり予防医療をもっと浸透させたいと思うことが多々ありました。
これからは予防医療がより重要になる時代です。多くの「がん」はsilent killer (サイレントキラー)です。silent killer とは、症状や危険を自覚することができないまま、病気が進行し、症状を自覚できるようになりやっと病院を受診したときには「がん」と診断され、場合によっては命に関わる病気となることです。大腸がん、胃がんも同様です。そのため無症状のうち、あるいは早期からの検査と「がんの前駆病変」の治療が推奨されます。近年、医療技術の進歩と共に死亡率も変遷しており、その過程の中で予防医療に力を入れることでより健康寿命を延ばすことができると考えています。健康寿命を延ばすためには、10年先の自分を想像して逆算して、今した方が良いことを考える必要があります。それは勉強や貯金、美容など全てに通ずることです。
例えば、10年前の自分を思い返してみてください。自分自身を軸としたときの仕事内容や自分の周りにいる存在、その方たちの状況など全く変わらず同じということはないと思います。そう考えると10年後の自分の環境は自分が想像しえない変化があるはずです。
生活習慣に関連すると言われる糖尿病(インスリン非依存)、高血圧、大腸がん(家族性のものを除く)などは、食習慣や運動習慣の見直しであったり、早期からの治療介入で安定した状態で長期的にコントロールできるものもあります。胃がんに関しても、ピロリ菌が関連していることが多いため早期の診断により、ピロリ菌を除菌することで胃がんのリスクを軽減させることが可能です。糖尿病、高血圧、胃がん、大腸がんなど多くの病気は身体に不調があっても、家事や仕事のことで忙しくて受診できないまま放置して、症状がはっきりとある状態で受診するときには、すでに病気がかなり進行していることが多々あります。大腸がん、胃がんの罹患数、死亡数を低下させるためには、がんの罹患数が上昇する50代より10年前の40代から大腸カメラ、胃カメラを行うことが推奨されます。大腸カメラによって、無症状の「がんの前駆病変」である大腸ポリープを取り除き、大腸がんになる可能性を低下させることができます。血便や便秘などの症状がある方ですと、すでに大腸がんを発症している可能性があり、早急な受診が必要です。大腸カメラの検査にて大腸がんの前駆病変である大腸ポリープを確認できたら、大腸がんに進行するのを予防するために、大腸ポリープの除去をする必要があります。
当院では、大腸カメラによる大腸ポリープの有無の確認をする検査だけではなく、大腸ポリープ除去の治療も同時に行うことが可能です。
「がん」は特に早期発見・早期治療によってその後の人生が大きく変わります。台所の流し台の排水溝を想像すると分かりやすいかもしれません。いつも通り水は流れていても、長年の食べ物のかすや油によって、排水管の内側は少なからず汚れが溜まっています。
消化管の中も同様で、食生活やストレスなどの影響で実際に管の中を見ないと分からない病変が隠れていることがあります。今は我慢できる痛みであったり、市販のお薬でごまかせる程度の症状であっても、その症状が「がん」によるものであった場合は、適した治療を行わない限り確実にがん病変は進行します。我慢できない症状となって病院を受診した時には、外科的な治療が必要となり、そのための定期的な病院受診の時間や高額な医療費が必要となることもあります。そうならないためにも10年後のご自身のため、ご自身の周りにいる家族やご友人、仕事仲間のためにも、症状がある場合は早期の病院受診をお勧め致します。
大腸がん、胃がんの罹患数、死亡数
下記の表のように大腸がん、胃がんの罹患数の順位は、死亡数にも直結しています。
がん罹患数(2019年)
※スクロールで全体を表示します
1位 大腸 | 2位 肺 | 3位 胃 | 全体 | |
男女総数(人) | 155,625 | 126,548 | 124,319 | 999,075 |
1位 前立腺 | 2位 大腸 | 3位 胃 | 全体 | |
男性(人) | 94,748 | 87,872 | 85,325 | 566,460 |
1位 乳房 | 2位 大腸 | 3位 肺 | 4位 胃 | 全体 | |
女性(人) | 97,142 | 67,753 | 42,221 | 38,994 | 432,607 |
がん死亡数(2021年)
※スクロールで全体を表示します
1位 肺 | 2位 大腸 | 3位 胃 | 全体 | |
男女総合(人) | 76,212 | 52,418 | 41,624 | 381,505 |
1位 肺 | 2位 大腸 | 3位 胃 | 全体 | |
男性(人) | 53,278 | 28,080 | 27,196 | 222,467 |
1位 大腸 | 2位 肺 | 3位 膵臓 | 4位 乳房 | 5位 胃 | 全体 | |
女性(人) | 24,338 | 22,934 | 19,245 | 14,803 | 14,428 | 159,038 |
がん罹患数(2019年)
※スクロールで全体を表示します
端末によってはスクロール不要です
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | |
男性 | 前立腺 | 大腸 | 胃 | 肺 |
女性 | 乳房 | 大腸 | 肺 | 胃 |
がん死亡数(2021年)
※スクロールで全体を表示します
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
男性 | 肺 | 大腸 | 胃 | ||
女性 | 大腸 | 肺 | 膵臓 | 乳房 | 胃 |
<参考文献>
1) 厚生労働省健康局がん・疾病対策課 平 成 31 年(令 和 元 年)全国がん登録 罹患数・率 報告 000942181.pdf (mhlw.go.jp)
2) 令和3年(2021)人口動態統計(確定数)の概況|厚生労働省 (mhlw.go.jp)
上記の表からも分かるように、大腸がん・胃がんのどちらも罹患数、死亡数が上位になっています。胃がんに関しては、胃がん予防のためのピロリ菌除去の重要性が周知されるようなったことや、ピロリ菌感染胃炎の除菌が保険適用になった経緯もあって、死亡数が大腸がんより下回るほど、死亡数が減少しました。さらに各自治体によっては、40歳からのバリウム検査や50歳からの胃カメラ検査が受けられるので、今後さらに罹患数、死亡数が減少していく傾向にあると思います。
大腸がんに関しては、自治体で、便潜血反応検査を受けることができ、陽性の方のみ保険診療で大腸カメラ検査を受けることができます。また、胃痛、ピロリ菌感染歴、腹痛、腹部違和感、下痢、便秘、血便などの症状がある方は、保険診療で胃カメラ・大腸カメラ検査を受けることができます。 多くの「がん」はsilent killer (サイレントキラー)であり、症状や危険を自覚することなく「がん」の病変のみが進行して、ある日急に症状が出るようになって、やっと「がん」と診断されます。
胃がん、大腸がんの罹患数、つまり胃痛や下痢、血便などの症状が出て、胃がん・大腸がんの診断に至る数は、50歳以降から上昇します。本当は、無症状のうちからの検診によって、「がんの前駆病変」の早期発見・早期治療が好ましいのですが、すでに症状が出ている方は早期の内視鏡検査をお勧めします。仕事や家庭のことなどなかなかご自身のための時間を取るのは難しい年代かとは思いますが、我慢できる程度の症状、市販のお薬でごまかせる程度の症状であっても、その症状が「がん」によるものであった場合は、適した治療を行わない限り確実にがん病変は進行します。
我慢できない症状となって病院を受診した時には、外科的な治療が必要となり、そのための定期的な病院受診の時間や高額な医療費が必要となることもあります。そうならないためにも10年後のご自身のため、ご自身の周りにいる家族やご友人、仕事仲間のためにも、症状がある場合は早期の病院受診をお勧め致します。
胃カメラ検査、大腸カメラ検査をお勧めする方
保険診療の対象となる方
基本的には医師により内視鏡検査が必要と判断した場合となります。
胃カメラ検査をお勧めする方
①上部消化管に起因する症状がある方(胸やけ、嘔気、上腹部不快感、胃痛など)
②過去に上部消化管(食道、胃、十二指腸)に病気(胃炎、潰瘍、腫瘍など)を指摘された、治療歴があり定期検査・精密検査・治療を勧められた方
③血液検査結果で異常(貧血、腫瘍マーカー高値など)を認め、精密検査を勧められた方
などが対象となります。
大腸カメラ検査をお勧めする方
①下部消化管に起因する症状がある方(便秘、下痢、血便など)
②過去に下部消化管(結腸、直腸など)に病気(ポリープ、潰瘍、腫瘍、炎症など)を指摘された、治療歴があり定期検査・精密検査・治療を勧められた方
③血液検査結果で異常(貧血、腫瘍マーカー高値など)を認め、精密検査を勧められた方
④PET-CT検査や大腸CT検査などの他の画像検査で大腸に病気が疑われた方
⑤検診で便潜血陽性を認めた方
などが対象となります。
胃・大腸カメラ検査をお勧めする方
①消化管に起因する全身症状がある方(血便、食欲不振、体重減少、腹痛など)
②過去に上部消化管(食道、胃、十二指腸)、下部消化管(結腸、直腸)にいずれも病気を指摘され、定期検査・精密検査・治療などを勧められた方
③過去に上下部消化管内視鏡検査の定期検査を勧められた方
④血液検査結果で異常(貧血、腫瘍マーカー高値など)を認め、精密検査を勧められた方
⑤検診で便潜血陽性を認めた方
などが対象となります。
自費診療の対象となる方
●大腸カメラ検査:症状のない方で40歳以上の方
「胃がん・大腸がん」の罹患数は50歳前後から上昇すると言われていますが、若い方でも「がん」と診断されるケースが少なからずあります。当院は「がんの前駆病変」の早期発見・早期治療のために40歳からの内視鏡検査を推奨しています。ピロリ菌の心配のある方や、周りの方から内視鏡検査を勧められた方など、40歳未満の方でも内視鏡検査を受けられますのでご安心ください。また、豊島区の方は胃がんリスク評価にて、血液検査でピロリ菌検査を受けることもできますので、ぜひそちらもご利用ください。
各自治体によって自治体のがん検診のための胃カメラ検査、便潜血反応検査を無料で受けられますので、ぜひご自身の自治体の検診についてもお調べ下さい。各自治体のがん検診の内容が異なる可能性もあります。当院は豊島区にありますので、豊島区のがん検診を元に、以下に自費診療の対象となる方について詳しく説明させて頂きます。
胃カメラ 症状のない方 40歳以上
※50歳以上の方は、豊島区のがん検診にて胃カメラの検診を受けることができます。 ※当院は2024年を目途に区の検診の受け入れも開始予定です。
大腸カメラ 症状のない方 40歳以上
※豊島区のがん検診にて30歳以上の方は便潜血反応検査の検診を受けることができ、陽性だった方は保険診療での大腸カメラ検査を受けられます
豊島区では、6つのがん検診と胃がんリスク検診があります。 がん検診は、胃がん検診、大腸がん検診、肺がん検診、子宮頸がん検診、乳がん検診、前立腺がん検診があります。 胃がん検診、大腸がん検診のそれぞれの対象者、内容は以下の表のようになります。ぜひご参照して頂き、年齢が当てはまる方はぜひ区の検診をご検討ください。
対象者 | 内容 | |
---|---|---|
胃がん検診 | 40歳以上 | バリウム検査 |
50歳以上 | 胃カメラ | |
大腸がん検診 | 30歳以上 | 便潜血反応検査 |
胃がんリスク評価 | 20~39歳 | ピロリ菌検査(血液検査) |
胃がんリスク評価 | 40歳、50歳 | ABC検査(血液検査) |
当院は「がん」の早期発見・早期治療だけでなく、「がんの前駆病変」の早期発見・早期治療を重要視しています。
多くの「がん」はsilent killer (サイレントキラー)です。silent killer とは、胃痛や下痢、血便などの症状がなく、自覚することができないまま年月が経ち、がん病変が進行してしまいます。胃痛や下痢、血便などの症状が出現するようになって、始めて病院を受診した時には、すでにがんである可能性が高く、がんの進行を止めるために早期の治療が必要となります。上記のような症状がある方は、保険診療での胃カメラ検査、大腸カメラ検査を受けることができますので、ぜひご来院ください。症状のない方は自費診療となりますが、「がんの前駆病変」の早期発見・早期治療のために人間ドックでの内視鏡検査をお勧めします。
人間ドックメニュー
予防医療フルコース
胃がん・大腸がん早期発見コース
上記6種類のメニューに追加で各種オプションメニューを用意しています。
予防医療フルコース | ①胃がん+生活習慣病早期発見 | 29,800円(税込) |
---|---|---|
②大腸がん+生活習慣病早期発見 | 34,800円(税込) | |
③胃がん・大腸がん生活習慣病早期 発見 |
45,000円(税込) | |
胃がん・大腸がん早期発見コース | ①胃カメラ | 19,800円(税込) |
②大腸カメラ | 27,500円(税込) | |
③胃カメラ+大腸カメラ | 38,000円(税込) |
内視鏡の合併症、鎮静剤のリスク
胃カメラ検査・大腸カメラ検査の合併症発生率
検査に伴う合併症 | 胃カメラ 0.025%、大腸カメラ 0.078% |
---|---|
治療に伴う合併症(粘膜下層剥離術を除く) | 胃カメラ 0.111~0.821%、大腸カメラ 0.274~0.512% |
参考文献)2003~2007年 日本消化器内視鏡学会「偶発症に関する全国アンケート調査」
合併症の内容:検査、治療などの手技に伴うもの(出血、穿孔、誤嚥など) 鎮静剤や鎮痛剤といった薬剤によるもの(呼吸抑制、血圧低下など)
穿孔
穿孔とは、胃や大腸に穴が空くことです。頻度としては高くないものの、重篤な合併症であることから、緊急手術や入院が必要となります。そのため、我々内視鏡医は細心の注意を払い検査を行っております。内視鏡手技・技術力において、胃カメラは内視鏡医であればそれほど操作性の難しさなどの技術力は求められませんが、大腸は粘膜が薄い臓器であり、直線ではなく屈曲しているので、内視鏡の難易度が格段にあがるため、技術力が問われる手技となります。
出血
出血とは、胃や大腸の粘膜の傷から血がでることです。特に生検や治療を行った際に処置部位より出血することが割合としては高くなるため、処置を行った際には検査後の生活の注意点(飲酒を控えるなど)をご説明しております。検査の内容と基礎疾患の状態に応じて、抗血小板薬や抗凝固薬などの血液をサラサラにするといわれている薬剤を事前にお休み頂く場合もございます。
また出血のリスクが高いと判断した場合には上記の説明に加え、内視鏡の際にあらかじめ予防止血術(クリップ、焼灼)を行う場合もございます。上記の通り、合併症予防に努めますが、どうしても防げないこともございます。その場合には緊急での止血や入院が必要となる場合もございます。
鎮静剤(麻酔薬)のリスク:呼吸抑制
鎮静剤の使用によって、血中の酸素が薄くなり、早急に酸素投与が必要になる状態です。 ひと昔と違って、鎮静剤を使用した内視鏡施設が増えたため、痛くない内視鏡を受けられる施設がかなり増えてきました。
痛くない内視鏡は、患者さんが安心して受けられる、医師も内視鏡手技に集中できるなどのメリットがあります。しかし、鎮静剤には呼吸抑制などの合併症があります。そのため、より安全に鎮静剤を使用するための鎮静剤の使用方法、管理体制が必要になります。
より安全に内視鏡を行うための、
当院の設備環境、内視鏡技術について
患者さんが、胃カメラ・大腸カメラを受けるにあたって、穿孔などの合併症が起こらないようにより安全な内視鏡の環境を整える必要があります。
●当院の医師は内視鏡専門医の資格を持っています。もちろん内視鏡専門医の資格を有していなくても内視鏡技術がある内視鏡医はいます。しかし、内視鏡専門医とは、内視鏡指導施設に一定期間在籍、症例数など一定の基準をクリアした者のみの資格となります。内視鏡指導施設に所属していたということは、内視鏡症例や数多くの処置を経験していることになり、内視鏡医として必要なスキルはあるという裏付けとなります。
●当院では、内視鏡機器を大学病院でも使われている画像解析度がより高い最先端の機器を使用しています。
●大腸カメラ検査前日は夜21時までに夕食を食べて頂き、夜21時以降からは絶食となります。検査前日の食事は検査食をお勧めしております。胃カメラ検査よりも大腸カメラ検査の方が医師に求められる内視鏡技術のレベルは各段と上がります。大腸は粘膜が薄い臓器であり、穿孔などの合併症を引き起こさないように、より高度な内視鏡技術が求められます。そのためには、患者さんの大腸の管の中の便がきれいに排出されている状態がとても重要になります。腸管内がきれいだと視認性が良好に保たれ、よりスムーズな内視鏡操作が可能になります。また、病変の診断力も同時に上がります。
合併症が起こる可能性がある内視鏡をより安全に行うには、医師の内視鏡技術、内視鏡機器、患者さんの検査前の胃・腸管内の準備など、条件が揃うことで、より合併症が起こる確率を下げられます。
痛くない内視鏡実現のために、
より安全な鎮静剤(麻酔薬)の使用が不可欠な理由
当院では、痛みのない内視鏡のために鎮静剤を使用しています。前述にて内視鏡検査での合併症のお話をさせて頂きましたが、鎮静剤で使用する麻酔にも合併症があります。「より安全に内視鏡検査をするにはどうしたらいいか」と同様に「より安全に鎮静剤を使用するにはどうしたらいいか」が、とても重要になります。当院ではより安全な鎮静剤使用のために、麻酔科指導医による指導を受けております。
麻酔科指導医 柏木 邦友
麻酔科指導医 柏木 邦友 ~鎮静剤を安全に使用するために~
当院は、鎮静薬による痛みのない内視鏡検査を行っています。「痛みのない」を実現するためには、「鎮静薬を安全に使用する」ということが大前提となります。
安全性を確保するにはいくつか必要な条件があります。麻酔科医としては安全性に関する全てのことをお話ししたいのですが、最低限の4つをお話しさせて頂きます。
01「患者さんに大きなリスクがないか」
肥満が極度にある場合や気道確保が困難な場合、鎮静すると通常より呼吸抑制が強く出る場合や、呼吸抑制時の対応が困難になるため、専門性のある施設での鎮静を勧めさせていただくことがあります。
02「安全な麻酔方法とマニュアルの作成」
同じ施設でも『A先生の時は安全だけど、B先生のときは危ないときがある』ということがあってはいけません。どの医師が行っても、どの看護師が補助についても同じように安全な鎮静を行うことができて、安全と言えます。
そのために、麻酔薬は患者さんごとに適宜変えることはありますが、根本的な方法や、安全確認は統一します。安全性の基準はより厳しい全身麻酔の安全性に準じ、マニュアルを作成することで質を確保します。
03「安全な麻酔薬の選択」
多くの鎮静薬・鎮痛薬の副作用には血圧低下や呼吸抑制があります。鎮静剤を使用する時は、副作用が少ない薬剤を必要最小限だけ使用します。それでも予期しない副作用が起こった場合は、麻酔薬の作用を打ち消すことができる拮抗薬を投与します。
拮抗薬が存在する麻酔薬は多くはありませんが、当院では、拮抗薬のある麻酔薬のみを厳選しております。
04「充実した医療機器(デバイスやモニター)の完備」
予期しない合併症が起こった場合、最新のデバイスを用いて、短時間で確実な対応を行います。例えば、予期しない呼吸抑制により、気管挿管(気管にチューブを入れる)が必要になったが、挿管できない場合、声門上器具(気管挿管よりも簡便で盲目的挿入が可能)を挿入し、呼吸ができるようにします。モニターについては、予期しない合併症が起こった場合も早期発見することで、重篤化を防ぐことができます。
例えば、コロナによって皆さんも知ることになりましたが、パルスオキシメータという指にクリップを挟み、血中の酸素飽和度を測定する器械があります。安価で簡便で非侵襲的(痛みがない)で連続的でリアルタイムの測定が可能なため、ほとんどの鎮静を行う施設で使用されますが、弱点があります。それは、パルスオキシメータでアラームが鳴ったときにはすでに低酸素血症になっているということです。
本当に安全な方法とは低酸素血症になる前に気づくことです。数分呼吸が止まった状態が続いてパルスオキシメータが低下してからアラームで気づくのではなく、当院では呼吸監視モニターを装着し、呼吸が止まったあるいは、呼吸が少なくなった時点で(低酸素血症になる前に)対応し、低酸素血症を防ぎます。全身麻酔では当たりまえに行われているのですが、鎮静ではほとんど行われておりません。
当院では、鎮静による気道合併症に対して、早期発見・早期対応するために呼吸監視モニターを使用しています。 前述したように安全な鎮静を行うためには複数の要素が必要となります。交通事故で例えてみると、交通事故は毎年のように起きますが、車そのものがこの世からなくなることはありません。それは車の恩恵がとても大きいためです。そこでいかに事故を予防し、もし事故が起きても大きなけがにならない運転が求められます。
前者は交通ルールを守ることやシートベルト着用で達成され、後者は速度制限や安全な車の開発で達成されます。鎮静も事故の予防(ハイリスクを見分ける、マニュアル、異常の早期発見)と適切な対応(拮抗薬、最新のデバイス、医療従事者の対応)がとても重要です。
下剤を飲む前処置が大変という声が
多い大腸カメラを受ける方への環境づくり
大腸カメラはお腹の中の便を空っぽにするために、1~2時間かけてゆっくり下剤を飲み、4回~5回ほどトイレに行って、便が薄い黄色から透明な水様便にする必要があります。 当院の大腸カメラ検査は、院内で下剤をのむ大腸カメラ検査と自宅で下剤を飲む大腸カメラ検査があります。 特に院内で下剤を飲む大腸カメラ検査の場合は、施設によって環境が様々で、特に女性の方からの不安や心配が多いため、当院はそのような不安をできるだけ払拭し、女性も男性も大腸カメラを受けやすい環境づくりに配慮しました。
~大腸カメラでよく聞かれる不安、感想~
- 前処置の時に男女同じ部屋で下剤を飲むのがちょっと、、、
- お手洗いが男女共有だったのがちょっと、、、
- お手洗いの時に順番待ちをするのがちょっと、、、
- リカバリー室から女性更衣室に戻る時に検査着で歩くのがちょっと、、、
- パウダールームがないのがちょっと、、、
- 男性医師だと恥ずかしくてちょっと、、、
一般社会においても女性が我慢して過ごしている「ちょっと、、、」の気持ちを少しでも払拭して、できるだけ快適に大腸カメラ検査を受けられるようなクリニック作りを目指しました。
当院では
- 男女が完全に仕切れる空間でさらにそれぞれのプライベート空間が保たれた個別の仕切りがついた下剤服用室で下剤の服用が可能になっています。
- お手洗いは男女別々です。
- お手洗いは、アナログな方法ではありますが、空室状況がそれぞれの下剤服用室のお部屋から確認できるようになっており、お手洗いの前で待つ必要がなく、空室状況を確認したうえで下剤服用室から出ることが可能です。
- 女性更衣室はリカバリールームから直結しており、検査着を着ている状態での男性とのすれ違いなどできるだけ最小限にしております。
- パウダールームは、女性更衣室と外来エリアに完備しております。
- 大腸カメラの際に、産婦人科の診察の時のようなおしりが露出した状態で検査をすることをイメージして心配されるのですが、大腸カメラを受けるときは検査着の下に、膝丈の短パンのような紙パンツを履きます。 検査開始時は、後ろのスリットの入ったところから直腸診といって、手袋をした状態で、肛門の中に触れてわかる直腸癌がないか確認して、安全に大腸カメラが行えることを確認したうえで、大腸カメラを始めます。私も含めて、一般的に内視鏡医は男性医師が多いため、当院を選んでくださった女性の患者さんが、どうすれば少しでも不安がなく安心して大腸カメラを受けられるかを考え、せめて女性が仕方なく我慢しているであろう環境の部分だけでも整えたいという気持ちで当院を開業しました。実際に大腸カメラを受けるときは女性看護師が常に患者さんの傍におり、患者さんは検査着の下に、膝丈の短パンのような紙パンツを履き、検査中は露出がない状態で検査(大腸カメラ)をしますのでご安心ください。
当院は「がん」の早期発見・早期治療だけでなく、がんの前駆病変の早期発見・早期治療を重要視しています。血便や便秘などの自覚症状がある時にはすでに進行がんとなっていることが多く、手術が必要となり、家事や仕事を休む必要が出てきたり、その中から医療費の捻出が必要になったり、「がん」は私たちの生活に大きな変化をもたらします。 そのような症状が出る前に、大腸カメラで実際に大腸の内面を見ることで、大腸ポリープなどの前駆病変の発見治療が可能になります。
大腸ポリープはほとんど自覚症状がないにも関わらず、放置していると大腸がんになる可能性が高いという厄介な病気です。大腸がんの罹患率、死亡率は増加しており、日本人の死因の上位です。血便、下痢の症状から発覚する大腸がんの発症リスクは40代から増加します。
その前の何も症状がない40代から大腸カメラによる大腸ポリープの早期発見・早期治療を推奨します。前駆病変という厄介な大腸がんの早期発見と確定診断が可能な唯一の検査が大腸カメラです。早期発見のためには、症状のない段階での検査が大切です。